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2014.06.17

相続人が痴呆症になっていたら?【熊本の相続遺言相談受付中!】

  これは実務的によくある相談です。
「父が亡くなったのですが、母は痴呆症になってしまっています。遺産分割協議ができますか?」

 相続関係のサイトなどを見ていると
「痴呆症になった方の代理人として成年後見人を選任し、その人と協議すれば大丈夫です」などと簡単に答えているものもあります。

 確かに理屈というか、模範解答としては間違っていないのですが・・。
親切な回答といえるためにはもう少し説明する必要があります。

 実際に成年後見人を選任するとなると家庭裁判所が関与するので想定外のことが起きることもあり、親族にもそれなりの覚悟が必要です。
例えばこんなことです。

・家庭裁判所に申請した後見人候補者が必ずしも選ばれるわけではない。事情によっては専門家がつけられ、報酬が発生することもある。

・成年後見人が代理で遺産分割協議をする場合、あくまで本人のメリットになる分割方法を取らなければならない。つまり、最低でも「本人の法定相続分」を確保する内容でなければならないので、相続人同士で好きなように分けられるわけではない。

・一旦選任すると遺産分割が終わっても成年後見人の仕事は痴呆症の本人が亡くなるまで続く。

遺産分割協議の後も本人の財産の使い道がある程度縛られる。原則、「本人のために使う」場合だけOKと思っておく方がよい。

 具体的なトラブル例としては、

「今までは子供夫婦が何か大きな出費がある時には親の援助を当てにしていたのにそれができなくなった」
「自分達が想定していた遺産分割の予定が大きく狂ってしまった」などです。

 日本人は特に「個」の財産権を強調するよりも「家族は一体。助け合うもの。」という観念が染みついているため、親のお金と自分のお金を混同しやすい一面があります。
ですから、家庭裁判所に「子供世帯のために親のお金を使うのはダメ」と言われて困惑してしまう人もいるのです。

 想定しなかった事態にならないためにも、相続人の一人が痴呆症になっている場合は、相続のことだけではなく後見の実務にも精通した専門家に相談して見通しを立てることが必要です。