相続時精算課税で大型贈与

親から子へ財産をスムーズに移転する制度

 基礎控除(年間110万円)を超える大型の親子間贈与を考えている方は
「相続時精算課税」
 という非課税枠が大きく設定されている制度がありますので上手に利用したいものです。

 相続時精算課税の特徴は次のようなものです。

①2500万円までの贈与が無税でできる

大型贈与には相続時精算課税

 贈与税は国税の中で最も高い税率が設定されていますので、通常は税負担がネックになって贈与をしないケースも多いと思われます。

 しかし、何らかの事情で親の生前に子に財産を移転したいという場合、相続時精算課税を利用すれば2500万円までの大型贈与を無税にすることもできます。
(なお、2500万円を超えると一律20%の税率になります。)

→ただし、相続税がかかるご家庭の場合、この贈与分は相続税の課税財産に加算されます。
 ですから相続時精算課税は基本的には相続税の節税として使うことはできません。
 (ただし、間接的に節税となることがあるので下記④を参照してください)

相続時精算課税のしくみ

 60歳以上の親から20歳以上の子への贈与について適用されますが、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」と、この相続時精算課税を併用する場合は親の年齢制限はありません。

相続時精算課税のしくみ

②相続発生前に財産を受け取ることができる

相続前に子世代へ

 いずれ相続すればもらえるのに、早くもらうことのメリットは何でしょう?
 例えば「子供が組んでいる住宅ローンの残高が多額である」場合などが一例です。

 親から贈与を受けて返済すれば今後何十年払うはずだった金利を節約できます。

 たかが利息・・と思われるかもしれませんが、30年、35年といった長期ローンを組んだ場合、元金の倍近くの返済額になることもあるのです。

③受け取った財産から子が収益を受けることができる

収益を子に

  例えば賃貸アパートを経営している方の場合、放っておけば賃料収入がどんどん財産に加算されていきます。
 そうなると相続税の課税対象になる遺産が増える一方です。

  しかし相続発生前に子供に移転してしまえば、そのアパートが生み出す収益はすべて子供のものとすることができます。
 子供のものになった後の収益はもちろん親の相続財産ではないですから相続税は課税されません。

④財産の性質によっては相続税節税手段にもなる

差額分を節税

 相続時精算課税を使って無税で贈与した財産の価額は相続税の計算時に相続財産として組み込まれますが、ここで注意したいのが「組み込む際の価格は贈与時の価格」になるということです。

 つまり、贈与時には100万円だった土地が、相続時には1000万円に上がった場合。
(通常は考えにくいですが市街化を進めている土地等ではあり得ることです)
 相続財産を計算する際、(1000万円と100万円の差額相当の)900万円分圧縮されることになるので、間接的に節税の効果があるのです。

相続時精算課税で気をつけるべきこと

一度相続時精算課税を選択すると暦年課税は使えなくなる

 暦年課税(年間110万円の非課税枠)と相続時精算課税はどちらかを選択することになります。
 相続時精算課税を選んだ場合は贈与があった翌年の2月1日~3月15日までの間に税務署に申告しなければなりません(選択届出書)もし、相続時精算課税を選ぶことにしたにもかかわらずこの申告を忘れると後から莫大な贈与税がかかってくることがありますので絶対に忘れてはならないのです。
 そして、いったん相続時精算課税を選んだ後で、「やっぱり暦年課税にします」ということはできません。選択する際は税理士とも相談して慎重に検討することが必要です。

非課税の2500万は「一生を通じて」の金額

 なお、父と母、それぞれに相続時精算課税を選択できるので両方につき選択した場合は父から2500万円、母から2500万円それぞれに非課税枠ができたということになります。

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