相続税課税の対象となる財産

相続税課税の基本的な考え方

「相続財産」と「相続税がかかる財産」は似て異なります。
 こちらもご参照ください → 「遺産とは」

相続税の課税対象となる財産とは、次のように相続財産から一定の範囲の財産を足し引きしたものになります。

相続税課税財産の範囲

  相続税とはそもそも「労働の対価ではなく財産を得られる人とそうでない人の不公平を是正する」つまり「富を再分配する」ことが趣旨です。

  そういう意味で、遺産分割の対象となる相続財産ではないものであっても、相続を原因として発生した財産、富に対しては一定の範囲で相続税をかけるのが妥当という考え方をしているのです。

 逆に、一般の国民感情などから「ここに相続税をかけるのは妥当ではない」という財産については「非課税財産」という扱いにしてバランスをとっているのです。

 では、もう少し詳しく見てみましょう。

相続税がかかる財産 ①本来の相続財産

 後にご説明している「非課税財産」を除き、被相続人が所有していた経済的価値を有するものはすべてが相続税の課税対象となります。

 土地、家屋、預貯金、株式など代表的なもの以外に、未収になっている賃料や債券(貸付金など)の金銭債権、著作権や特許権など形のないものも含まれます。

 つまり、そこに経済的価値が存在するものであればすべてが相続財産なのです。

相続税がかかる財産 ②みなし相続財産

①生命保険金
 被相続人が生命保険や損害保険の契約をし、保険料を負担していた場合、死亡によって支払われる保険金はみなし相続財産となります。

②死亡退職金
 被相続人が在職中に死亡した、つまり死亡退職した場合の退職金は相続後に遺族に支払われます。この死亡退職金は厳密には被相続人の残した財産ではありません。

 しかし死亡により相続人が金銭を取得したことになるので相続財産とみなされて課税の対象となるのです。

③生命保険契約に関する権利
  たとえば  父A→契約者、保険料負担       子B→被保険者
のような場合にAが死亡するとAは被保険者ではないので死亡によって保険金は支払われません。

 しかし保険契約に関する権利(解約返戻金請求権)をBが相続することになりますので本来の相続財産として課税の対象になります。

 なお、契約者が父以外の者(C)である場合はA死亡によってCがが保険契約の権利を相続または遺贈により取得したものとみなして課税の対象となります。

④定期金に関する権利
 年金のように定期的に支給されるものを定期金といいますが、これも生命保険契約と同じように扱われます。
 まだ給付自由が発生していない定期金給付契約で、被相続人が掛金などを負担し、他者が契約者となっている場合を想定してみましょう。

 この場合、契約者が相続または遺贈によって定期金給付契約上の権利を取得したものとみなされます。

⑤遺言により受けた経済的利益
・遺言によって借金を免除してもらった
・著しく低い価額で財産の譲渡を受けた
・遺言信託の受益者となった

 このような場合はその経済的利益相当額が遺贈されたとみなされます。

相続税がかかる財産 ③贈与財産

仲良し夫婦(相続税)

①相続時精算課税にかかる贈与財産
 被相続人の子などが相続時精算課税の適用を受けて財産を贈与されている場合、その贈与財産が相続税課税の対象になります。

②相続開始前3年以内の贈与財産
 相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産はすべて相続税の課税対象になります。
これは、相続開始直前に駆け込みで多額の贈与を行って相続税を減らそうとすることを防ぐためです。

 なお、贈与税を支払っている分については二重に課税されることはありません。
(贈与税額控除)
これらの財産の価額を評価する際は相続時ではなく贈与時の価額で評価されます。
※「贈与時」「相続時」の差額を利用して節税できる場合があります。

相続税のかからない財産(非課税財産)

相続税のかからない財産には次のようなものがあります

内  容 備  考
皇室経済法の規定により、皇位とともに皇嗣が受け継ぐもの
墓地や墓石、仏壇、祭具など日常礼拝の対象としているもの 純金の仏壇など、常識の範囲を超えて高額なものは場合によって課税対象になることもある
宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う人が取得した財産で、その公益事業に使われることが確実なもの 個人のものとして所有する場合には課税対象になる
心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
相続人が取得した生命保険金のうち
500万円×法定相続人の数 までの金額
平成27年に非課税枠が縮小する可能性が大きい(増税)
相続人が取得した死亡退職金のうち
500万円×法定相続人の数 までの金額
平成27年に非課税枠が縮小する可能性が大きい(増税)
個人経営している幼稚園の事業で使われていた財産で一定の要件を満たすもの 事業に使われるもので一定の要件を満たすもの、かつ相続人の誰かが幼稚園の経営を継続すること
相続税の申告期限までに国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付したもの、あるいは特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの