生命保険による相続対策

生命保険で相続税納税資金確保

保険金は固有財産

  まず、基本的なところですが、被相続人が加入していた生命保険の死亡保険金は「相続財産」になるか、つまり遺産分割の対象になるかということです。答えは
「受取人指定されている死亡保険金は相続財産にはなりません」

 言い換えると、受取人が指定されている死亡保険金は
①受取人以外の相続人の関与なしに受け取ることができますし、
②「相続放棄」をしたとしても受け取れるのです。

 ただし、「死亡を原因として取得した財産である」という性質から、「みなし相続財産」といって相続税の計算上は相続財産に含まれることになっています。 ※参考 → 「遺産とは」

 なお、このページで後述しますが、死亡保険金のすべてに相続税がかけられるわけではなく、保険金のうち一定の金額は「非課税枠」といって相続税が課せられない部分があります。
※相続税の課税される財産について詳しくはこちら → 相続税課税の対象となる財産

 そして、死亡保険をかけることの大きな意味として
「遺族がもらった保険金を相続税の納税資金にすることができる」
ということです。

納税資金の一括納付が難しい場合は?

現金がない

 相続税の場合、相続発生から10カ月以内に金銭で納付しなければなりません。

 しかし、遺産の内容は大部分が不動産ということも珍しくありません。
期限内に現金が準備できるかどうかは重大な問題です。

もし現金がなければ
「延納」→納付期限を一定期間延ばす手続
「物納」→延納によってもなお納付できない場合に相続財産現物(不動産等)によって納付する手続

もありますが、手続自体が面倒である上に条件も厳しいものとなっていますからそれほど簡単にはいきません。
 結局不動産を売却して納付するケースも出てきます。

 ですから、不動産などを無傷で残したいという方は特に生命保険による準備を積極的に利用すべきなのです。

 ここで気をつけなければならないのは「加入する保険の種類」です。

 相続対策に向いていない種類の保険もありますが、最も適しているのは「終身保険」です。

どのような保険が相続税対策に向いているか

それぞれの保険の特徴と相続税対策への向き・不向きを検討してみましょう

保険の種類 特  徴 相続税対策
終身保険 一生涯保障が続く。解約した場合には解約返戻金もある。 最適である
定期付終身保険

ある期間だけ保障を厚くしてあるので合理的であるが一定期間が終わると保険金が減額される。

適しているとはいえない
定期保険 一定期間のみ保障する商品なので、掛け捨てとなる。保険料は安い。 適さない
養老保険 満期になると満期返戻金が、期間内に死亡した際は死亡保険金が支払われるので貯蓄と保障を兼ね備えた商品といえる。ただし、保険料は割高。
満期返戻金、死亡保険金のどちらがもらえるかはあらかじめわからない。
適さない
医療保険 医療費を保障するための保険。死亡給付金がある場合でもその金額は少ない。 適さない

生命保険で相続税節税

保険金の非課税枠

  上記のように死亡保険金は相続税の課税対象となる相続財産に含まれますが、一定の金額までは相続財産から外してもらえる「非課税枠」というものがあります。
これを上手に使えば相続税を節税することができるのです。

生命保険金の非課税枠
法定相続人×500万円

 つまり、生命保険金が2000万円あり、法定相続人が2人いたとすると、1000万円までは非課税で残りの1000万円が相続税の課税対象になるのです。

生命保険を使えば紛争対策にもなる

保険金は長女へ

 上記のように相続税の対象者が相続税を減らすための方法としても利用できる死亡保険金ですが、相続税対象者に限らず、この方法が向いている人がいます。

 「相続財産が自宅不動産のみ」という場合です。

日本にはこのようなご家庭がとても多いと思います。

実はこのようなご家庭は「相続税」の対策は必要なくても「相続紛争対策」については最も必要度が高いグループといえます。

 このような方にもし相続が起こって複数の相続人がいた場合はどうなるでしょうか。
最悪、分割方法に困ってせっかく親から相続した不動産を売却しなくてはならないという事態も起こりうるのです。
ですから、自宅を相続できない相続人に対して保険金を残しておくという方法は紛争対策として有効なのです。