遺言の変更

遺言は何度も書き換えられる

遺言の知識(やっぱり娘に)

「遺言した後に気持ちが変わったらどうしよう?」

 このような心配は無用です。
 遺言をした後でも気持ちの変化、家族の関係の変化などがあれば何度でも書き直しをすることができますし、全部でも一部でも撤回してかまわないのです。
 遺言には必ず日付を入れなければなりませんので、最後に書いた遺言が有効になります。
 ではもし、前の遺言と後の遺言に矛盾した点があるとどうなるのでしょうか?

遺言の知識(矛盾した遺言)

 上記の例では
・長男に預貯金を相続させる
の部分を撤回したとみなされることになりますが、不動産については何も触れていないので前の遺言が生きていることになります。
 ですから、「不動産は長男」「預貯金は長女」という結論になるのです。

遺言の取り消しとみなされるケース

 遺言書を取り消したとみなされるのは、いくつかパターンがあります。

①遺言書で遺言書を取り消した場合

遺言の知識(遺言による取消)

 これは要するに上記例で挙げたような状況のことです。
 後の遺言で、前の遺言の一部であろうと全部であろうと取り消すことができますし、「取り消し」とはっきり書いていなくても両者が矛盾していれば矛盾する部分について前の遺言を撤回したとみなされます。

 ですから遺言書においては「日付」が重要です。自筆証書遺言では日付が書いていないと効力がないのはこのような理由なのです。

②遺言した後に矛盾する行為を行った場合

遺言の知識(遺言後売却)

 これは、「A不動産、預貯金を長男に相続させる」という遺言があったのに、遺言者が死亡する前にA不動産を他人に売却してしまった場合などです。
 この場合、長男は買主に「これは俺がもらうはずだったのだから返せ」とは言えません。遺言と矛盾する行為をしたということは、その遺言を撤回する意思表示をしたと解釈されるのです。
 ①と同様に、あくまで「矛盾している部分」の撤回ですから、預貯金については長男が相続できることになります。

③遺言者が遺言書を破棄した場合

遺言の知識(遺言書破棄)

 遺言者が遺言書をわざと破り捨てたり燃やしたりすれば遺言を撤回したものとみなされます。ただしこれについては注意点があります。

・破棄するのは「遺言者本人」であること。「相続人」が破棄すれば相続欠格(相続権がなくなる)となります。
・公正証書遺言は公証役場に原本が保管してありますから、手元の遺言書を破り捨てただけでは 取り消しにならないので注意しましょう。公正証書遺言を撤回したい場合、その旨の遺言書を作成すべきです。(撤回するための遺言書は公正証書で作成しなければならないわけではないですがやはり確実に見つけてもらう観点では公正証書の方がよいでしょう。)

遺言に書いた財産でも処分してよい

遺言の知識(遺言した財産の処分)

 「遺言に書いた財産は自由に使えなくなるのですか?」と心配される方もいらっしゃいますがそんなことはありません。

 上記のように「A不動産を長男に相続させる」と遺言したにもかかわらず、遺言者の死亡時点でその不動産を売却してしまっていた場合は相続させる意思を撤回したと解釈されるだけなのです。

 ですから預貯金も同様であって、遺言時点で100万円あったものを遺言者が使ってしまい死亡時には1万円しか残っていなかったとしても、それは残った金額を相続させる意思だったと解釈されるわけです。

 ただし、「あなたにこれだけ遺したから」と相続人に具体的な金額を言ってしまっている場合は、あまりにもかけ離れた金額になっていると後で相続人間のトラブルになる可能性はあります。その点だけ注意しておきましょう。

・遺言は何歳くらいでするのがベスト? → 「遺言できる人、するタイミング」
・私には遺言、必要ですか? → 「遺言必要度チェック」
・遺言をしなかった場合、どんなことになる? → 「遺言がないとどうなるか」
・作ってみたいけど、どんな形式にすればよいの? → 「遺言書の種類と特徴」
・自分で自宅で書いてみたい! → 「自筆証書遺言」
・やっぱり作るなら公証役場できちんと! → 「公正証書遺言」
・書かなければならないことは決まっているの? → 「遺言書に何を書くか」
・遺言の内容に不満がある! → 「遺留分」